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前科・犯罪歴がある場合のオーストラリアビザ&ETA(ETAS)申請まとめ | オーストラリアビザ申請

更新日:2022年11月16日

「犯歴や前科があってもETA(ETAS)申請できるの?」

「どのような犯歴ならオーストラリアビザの申請ができる?」

このようなご質問を多く頂きますが、確定的な回答をさせていだくのはなかなか難しいところです。

というのも、犯歴・前科をもってのビザ申請においては、


・罪名

・犯罪の軽重

・犯罪があった日からの経年

・更生の判断

・担当審査官

・その他の適格要件


など、多くの要因が総合的に絡み合うからです。ただし、一定の基準は定められていますので、当記事では、それらを簡単にまとめました。ご事情を抱えながらETAやビザ取得をご検討されている方の参考となれば幸いです。

※当記事は2022年11月8日の情報を元に作成しております。最新情報は、各公的機関のHP等で確認するようお願いします。


【目次】

Ⅰ 前科・犯罪歴がある場合のETA(Electronic Travel Authority / 電子渡航認証)の申請

・そもそもETA(ETAS)とは

・犯歴等に関する質問事項

・例外はあるが、訪問ビザ(subclass600)の申請となるのが通常

・犯罪経歴証明書とは

Ⅱ 前科・犯罪歴がある場合のETA以外のビザ申請

・通常ビザの申請手順

・Character Details(人格的詳細)について

・英語以外の資料の翻訳

Ⅲ 人物判断の基準となるCharacter testとは

・犯罪の軽重の判断基準

Ⅳ まとめ


Ⅰ 前科・犯罪歴がある場合のETAの申請


そもそもETA(ETAS)とは

ETA(Electronic Travel Authority / 電子渡航認証 ※ETASは、Electronic Travel Authority Systemの略です)は、商用または観光目的、かつ3か月以内の滞在であれば、ETAアプリを通じた申請でオーストラリアの入国許可を得られる渡航認証です。一度認証されれば、何かしらの事情で取り消されない限り1年間有効で、申請した即日ないし数日内には認証結果を得られるため、日本の方が商用・観光目的、3カ月以内の滞在予定で渡豪する際に通常利用する申請方法です。


犯歴等に関する質問事項

しかし、ETAアプリの申請フォーム内には、

「いずれかの国で有罪判決を受けたことがありますか」

「家庭内暴力に関して、有罪判決あるいは関連機関より指示や命令を受けたことがありますか」

という質問項目があり、このいずれかの「Yes」にチェックを付けた場合、原則、ETAの申請は却下されることとなります。

この場合、オーストラリア移民管理局の公式HPのETA申請適格のページにおいて以下のように記載されている通り、通常の訪問ビザ(subclass600)を申請する流れとなります。


Meet our character requirement
You must meet our character requirement. If you have a criminal conviction in any country, you should apply for a Visitor visa (subclass 600) and provide evidence about your criminal convictions. If you are granted an ETA, but we find that you provided incorrect information, your ETA may be cancelled.

(訳)

人格的要件を満たしてください。

あなたは我々が定める人格的要件を満たす必要があります。もし、あなたがいずれかの国で有罪判決を受けていた場合は、訪問ビザ(subclass600)を申請するべきであり、有罪判決の証拠資料を併せて提出してください。仮にETAの認証がされた場合でも、不正な情報提供を発見した場合は、ETAを取り消します。

(参考リンク)


特に「家庭内暴力」については、オーストラリア政府は厳しい姿勢を保っています。豪内務大臣の通達である「Direction No.90」内においても、「非常に深刻な」侵害行為と位置付けており、ETAのみならず、通常のビザ申請においても難易度が上がります。

(参考リンク)


また、虚偽の情報によってETAが取り消された場合、今後のオーストラリア入国が非常に困難となるので、絶対に避けましょう。


例外はあるが、訪問ビザ(subclass600)の申請となるのが通常

軽微な交通違反、軽犯罪等であれば、追加資料を提供することによってETAの承認が下りるケースもありますが、いずれにせよ、オーストラリア移民管理局の審査官の判断によるところが非常に大きく、認証されるかどうかは未知数です。弊所としても、移民管理局の立場に従って訪問ビザ(subclass600)の申請をおすすめしています。


犯罪経歴証明書とは

ちなみに、犯歴の証明資料の一つとして、警察署が発給する「犯罪経歴証明書」がありますが、この証明書は、以下の場合は「犯罪経歴を有しないものとみなす」としています。


(1) 刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過しているとき。

(2) 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を受け、罰金以上の刑に処せられられないで10年を経過しているとき。

(3) 罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を受け、罰金以上の刑に処せられないで5年を経過しているとき。

(4) 恩赦法(昭和22年法律第20号)の規定により大赦若しくは特赦を受け、又は復権を得たとき。

(5) 道路交通法(昭和35年法律第105号)第125条第1項に規定する反則行為に該当する行為を行った場合であって、同条第2項各号のいずれにも該当しないとき。

(6) 少年法(昭和23年法律第168号)第60条の規定により刑の言渡しを受けなかったものとみなされたとき。

(7) 刑の言渡しを受けた後に当該刑が廃止されたとき。


したがって、過去に有罪判決を受けていたとしても、量刑、執行の次第と経年によっては犯罪経歴証明書内に犯歴は記載されません。しかし、ETAアプリの質問の中では、「~regardless of ~whether the applicant has a spent conviction(前科が消滅したかどうかにかかわらず)とあり、この場合でも、「Yes」にチェックをつける必要があるので、注意してください。また、質問項目内には「犯罪詳細を開示できない場合は、入国拒否やビザを取り消す場合がある」とあります。さらには、こちらにも「有罪判決を受けたことがある場合は、訪問ビザ(subclass600)を申請すべきである」との記載があり、「Yes」にチェックをつけて、仮に拒否されなかった場合でも、追加情報や資料を求められることが通常です。必要な情報・資料のチェックリストは、その要請と併せて提示されますが、どのような情報・資料を提出すべきかが不明な場合や、準備の時間を短縮したい場合は、弊所でもサポートが可能ですので、お気軽にご相談ください。



Ⅱ 前科・犯罪歴がある場合のETA以外のビザ申請


通常ビザの申請手順

ETA以外のビザ申請においては、すべてオンライン申請が可能で、申請から認証まですべてオンラインで完結することが可能です。その場合、オーストラリア政府のオンライン申請システム「ImmiAccount」でアカウントを開設し、当システムから申請する必要があります。

(参考リンク)


Character Details(人格的詳細)について

ImmiAccountからの申請においても、「Character Details(人物詳細)」に関する質問項目があり、前科や犯罪歴の有無について問われます。「Yes」にチェックを付けた場合、追加情報・資料の提供を行い、それをもとに審査官が、「①犯罪の軽重」「②罪を犯したときからの経年」「③更生したと言えるか」等を判断し、ビザ申請の承認・却下を行います。この場合、①②に関するものとしては、

A. 罪名

B. 罪を犯した日、当事者

C. 量刑と執行について

D. 犯罪のきっかけ、起きた理由、経緯

等の情報と併せて

・判決謄本(検察庁保管)

・犯罪経歴証明書(警察発給)

等を提出することとなります。

上記A~Dの情報の多くは、判決謄本や犯罪経歴証明書に記載されているのが通常ですが、「刑が執行されたかどうか」や「犯罪が起きた原因を自分自身が認知し、反省しているか(更生したか)」という部分については、申請者自身のステートメントでも伝える必要があります。

また、③に関するものとしては、

・申請者の犯歴を知っている同僚や友人からのレター

・職務経歴書

・更生プロブラム完了証

・精神科医やソーシャルワーカーからの意見書

・人助け、人生を改善・罪に手を染めない努力をしてきたこと示す証拠

等が挙げられます。


英語以外の資料の翻訳

英語以外の資料については、翻訳したものを併せて提出することが求められますが、その際に注意したいのは、翻訳について一定の要件が定められている点です。

具体的には、

・正規の翻訳者または翻訳会社によるものであること

・英訳には翻訳会社の社用箋を用いるか社印・証明を付記すること

・翻訳会社、翻訳者の連絡先を記載すること

・翻訳者は申請者と関係しない第三者であり、同じ住居に居住していない者であること

です。

また、オーストラリア国内の翻訳者を利用する場合は、オーストラリア翻訳・通訳資格認定機関(NAATI)の翻訳者である必要があります。

弊所では、日本国内からの申請であれば、上記に定める要件を満たした翻訳資料を作成することができます。翻訳だけの受託も可能ですので、お気軽にご相談ください。

(参考リンク)



Ⅲ 人物判断の基準となるCharacter testとは


犯罪の軽重の判断基準

では、犯罪の軽重はどのような基準で判断されるのでしょうか。


オーストラリアビザの適格要件には、健康要件や資力要件などいくつかの要件が定められていますが、その中の一つに「Character requirement」という人物的適格要件があります。その判断基準としてオーストラリア移民法( Migration Act 1958 )の501条に定められているのが「Character test」であり、概要は以下の通りです。


重大な犯罪歴がある

② 入管管理拘留から逃亡で有罪判決を受けたことがある

③ 犯罪組織との関係を疑う合理的理由がある

④密輸、人身売買、大量虐殺、戦争犯罪、拷問や奴隷など人道に反する罪や国際的に重大な懸念を及ぼす犯罪との関係を疑う合理的な理由がある

⑤ オーストラリア社会に危険を及ぼす恐れがある

⑥子供に対する性犯罪で有罪判決を受けた、起訴された

⑦家庭内暴力で有罪判決を受けた

⑧国際警察からオーストラリアへのリスクを通知された人物である


これらの要件に一つでも当てはまれば、審査官はビザ申請に対してネガティブな判断をする必要があります。


特に、①の「重大な犯罪歴」は同法501条7項の中で以下の通り定義されています。

・死刑はまた終身刑判決を宣告された

・1つ、または複数の罪名で言い渡された懲役期間の合計が12カ月以上

・精神の不健全を理由として無罪となり、施設・機関に拘留されている

・裁判所により弁護するにふさわしくない犯罪と判断されたが、罪を犯したと認定され、施設・機関に収容されている


上記①に該当する場合、もしくは、子供に対する性的犯罪歴がある場合は、審査官はビザを取り消さなければならないと501条に定められており、ビザの取得はかなり厳しいものとなるでしょう。


一方で、それ以外の犯歴であった場合は、オーストラリアビザを取得できる可能性は残されています。その場合、前述した提出情報・資料を元に、審査官に対して、あなたが「オーストラリアに害・不利益を与える人物」ではないと判断してもらう必要があります。


Ⅳ まとめ

・犯歴や前科がある場合、原則、ETAではなく訪問ビザ(subclass600)を申請する必要がある。

・仮にETAによるプロセスが進行したとしても、却下されるか、追加情報・資料の提出を要請されるのが通常。

重大な犯罪歴 や児童性犯罪がある場合、ETAのみならずあらゆるオーストラリアビザの取得は困難

・それ以外の犯歴や前科の場合、「①犯罪の軽重」「②罪を犯したときからの経年」「③更生したと言えるか」を証明する情報や資料を提出して、判断してもらう

・この際の情報、資料としては、ケースにもよるが、警察発給の「犯罪経歴証明書」、検察庁保管の「判決謄本」、犯情や反省を述べた申請者による「ステートメント」、そして「サポートレター」その他更生を証明する書類などがある


いずれにせよ、前科・犯歴をもちながらの訪問ビザ申請は、資料の準備やステートメントの作成、資料の翻訳、移民管理局との英語でのやり取り等が必要となり、それなりの労力が求められますので、まずは専門家に相談することをお勧めします。弊所においても対応しておりますので、お気軽にご相談ください。



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